私が古舘伊知郎という人物の魅力を思い知らされたのは、夜ヒットスタジオでTM NETWORKを「
歌う日米半導体摩擦」と例えた時だった。
未だに意味はさっぱりわからないが、雰囲気はなんとなく伝わる絶妙な例えだったと今でも思う(笑)
そんな古舘さんの著書に書かれてあった実践に使える話術を、一部紹介させてもらいます。
■本音を引き出す為におしゃれカンケイに江川卓がゲストとして出演した際、当時週刊誌で話題になっていた「江川は女房をよく殴る」というウワサについて真相を聞き出したかった。
古舘「江川さん、奥さんと初めて会った時の印象は?」
江川「昔の事だから忘れましたよ」
古舘「どこに魅力を感じられたんですか?」
江川「魅力なんて別にないですよ 今も」
と、のらりくらりで話の核心に入れない。そこで古舘さんは
古舘「江川さん、僕は女房とケンカして殴っちゃたら、
その後のフォローはSEXですよ!」
江川「(警戒した表情で)あのですネ、いろんなところで僕が女房を殴るなんて書かれてるけど、そういう事に関してもどうのこうの言われても・・」
古舘「僕にSEXとまで言わせておいて逃げるのですか!女房はこういう事をTVで言うのは当然嫌がるんですよ。あえてそれを言ったんです。もう一度言います。ウチの場合はズバリSEXです!」
こう言ったら、江川さんは笑い出し、打ち解けた表情でこう語ってくれた
「昔は時々殴りましたよ。でも女房は殴られ強いというか、一度オレンジをぶつけたことがあります」
この場合、人間の心理としてうちはSEXではないと否定したいが為に、無意識にその前段のケンカの話をスラスラ喋りだしたという例である。
白々しくもいいから自己犠牲の精神でトライしてみる。それでも相手が逃げようとした時に初めてやんわりと突っ込むと、向こうも多少後ろめたさを感じて折れてくれる。
心理的なギブ・アンド・テイクが働くのです。
■苦手な相手に対して苦手な相手には逆に避けずに懐に飛び込んでいくという手法
アントニオ猪木は異種格闘技戦でボクサー相手に対し、あえて積極的に顔を全面に出していく事で相手の心理的なスキをついて関節を決めるという。水商売でもよく触ってくる客に対して、自分からグっと距離をつめてももとももがあたる距離まで近づき、自分の右手を相手のももに置くとそれ以上は絶対に近づいてこないという。
一を提供して九の災害を免れるである。
これは話術にも使え、相手が学者や教授など専門分野に長けている相手と話さないといけない場合、最初に「すいません。ボク全然おたくの事を知らないんですよ」と、いきなり至近距離で突っ込んでいき、「でも教えてくださいよ、この際」と思い切って丸腰になってみる。相手は「知らない」と言われればムっとなるが、「教えてください」「お願いします」とくると相手はパンチが出せなくなるのだ。「知らなくてすいません」と言いながら時折「前から思っていたんですが○○の問題についてはどう思われますか?」との質問を混ぜると、相手は錯覚して(こいつ全然知りませんと言いながら、前々からその質問をしようと楽しみにしてたんじゃないか)と勝手によい方向に解釈するというのだ。
苦手な相手を迎えたときこそ、思い切って相手の胸に伸び込んでいく捨て身の策が、逆に最大の防御策になるのだという。
■お世辞上手 お世辞下手普段から誉められる事に慣れてしまっている、プロスポーツ選手や歌手に対して「MVPおめでとうございます」や「○○賞おめでとうございます」という言葉はかえって相手に白々しさを与えるという。そこで
「
あなたがここにいるから言うわけじゃないんですけど・・」
「
本人を目の前にして言うのもなんですが・・」
と枕詞をつけるだけで、ヨイショの内容は同じなのにそれまでガードの固かったゲストも積極的に受け答えしてくれる様になったという。
ストレートに相手を誉める事が白々しいと取られそうなときは、
逆にわざと白々しい前置きをする事によって中身のセリフを際立たせる事が出来るという。
枕詞の中でも一般人でも使えるのは「
イイ意味で」とのフレーズだと思う。
(例) 「イイ意味で生意気な小娘だったのですね」
「だけど君だってイイ意味で世間知らずだ」
簡単に使えて、かつ険悪なムードを抑止するフレーズである。
野球の江夏さんがゲストに出た際、中学時代意地の悪い先輩の仕打ちにたえかねて怒りを爆発させたエピーソードを聞きたかった時に
江夏「・・・それでこっちも冗談じゃない!この野郎とムカっときて・・」
古舘「殴ったんですか?」
江夏「いや、殴ったちゅうか、相手がむちゃくちゃするから・・」
古舘「
イイ意味で殴ったのですね?」
江夏「はい」
「イイ意味で」は、あらゆる場面に活用できる枕詞なのです。
■好印象が残る捨てセリフ古舘さんがサラリーマン時代に嫌いな上司に一時間説教された時の話
その上司は自分が話し上手と信じ込んでいて、「こういうときはこうなんだよ」とやさしく致せり尽くせりで説得にかかり、最後に「これだけ言えばわかっただろ?」と言われ「
はい、真綿で首をしめられるようによくわかりました」と答えてしまい、会社初まって以来の箸にも棒にもかからないやつと言われたらしい。
その失敗から、どういった捨てゼリフが好まれるのかと研究したという。
そこで目をつけたのが、ニュースステーションの久米宏がコマーシャルの前に入る2,3秒で言う「さあ次はプロ野球です。
あー巨人が負けてよかった」だという。彼の捨てゼリフは大々的な予告編になっており、これは捨てセリフではなく、キチント計算された立派な話術だという。
また、徳光和夫がニュース番組で自分の伝えたばかりのニュースを「でもそんなのおれわかんないよ」とさらりと本音を言う捨てセリフにも、計算というか人柄のにじませ方が実に巧みだという。
■中継法女の子に「”今度飲みにいかない?”なんて今どき、こんな野暮っぽい誘い方をするヤツいないよね」と言っておいてから、即座に「飲みに行かない?」と聞きなおすとかなり違った印象になる。女は「何?それ?(笑)」と笑うので、とりあえずその場はほぐれる。自分のしゃべっている言葉を、
あたかも第三者がみているような客観的な形で釈明する「中継法」をあみだした。
「要するに」が口ぐせの人は「要するに・・・なんて何が要するにかわからないけど・・」とダサい自分を中継する事によって客観的に自分を見直すという効能がある。
自分の事は誰よりも自分自身が一番熟知しているのである。自分はダサいですよという態度をみせれば、意外とすんなり受け入れられる事が多いのです。中継法とは、相手に自分の弱点を察知される前に自分から先に弱みをさらけだして、ダサい自分を帳消しするのだ。
参考文献 :
喋らなければ負けだよ古舘 伊知郎
- 2007/01/18(木) 21:15:39|
- 懐かし人物
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中継法はたまに使うかな。たしかに初対面の女には効果的だと思う。
- 2007/01/19(金) 18:30:39 |
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今日はアナログもの。 仕事を効率よくこなすには、コミニュケーションが重要に...
- 2007/03/28(水) 10:23:38 |
- 手帳2.0
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- 2007/01/20(土) 13:07:38 |
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