消えた虎達 - 80年代後半~90年代前半を回顧するブログ


消えた虎達

2010年07月15日 00:15

2001年から2004年まで放送された投資バラエティ番組
「マネーの虎」(日本テレビ系)

百戦錬磨の“虎”(会社経営者) VS 起業希望者

という図式が海外で好評を博し、「風雲たけし城」や「料理の鉄人」のようにフォーマット販売という版権ビジネスで成功しているようだ。

そんなキラびやかさが聞こえてくる反面、番組終了後の百戦錬磨の“”達のその後の動向がどうもキナ臭い




◆小林 敬
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株式会社 小林事務所
代表取締役 <年商>56億
45歳(当時)


「アホンダラァ! 謙虚になれよ!」
「死ぬ気でがんばってこのザマか!」
「私らかて百戦錬磨の経営者なわけですわ」

45歳にして会長/相談役の風貌を兼ね備えていた小林氏は最も恐れられた虎ではなかっただろうか。
若き起業家達の計画性の甘さへの叱咤には留まらず、終いには人間性の否定まで行い、
起業での成功で得た自信と目の前に積まれた札束がこの猛虎をより強く吠えさせた。

だが、プランのない若者へ向けた辛辣な罵声は、まず己の計画性へと向けなければならなかったようだ・・

2004年 マネーの虎 打ち切り
2005年 代表取締役を務める運営会社にて過剰な設備投資を行い小林氏は自己破産する

2008年 シダックスの執行役員に就任
2009年 シダックス執行役員を突如退任

2009年 本業であるレストランを運営する会社の社長に就任し、手腕を買われる
同年  わずか半年で辞任

2010年 独立開業を起こし、京都に飲食店を建てる
同年  わずか4ヶ月で閉店



◆ 南原竜樹
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オートトレーディングルフトジャパン株式会社
代表取締役社長 <年商>55億
43歳(当時)


吠えない冷静沈着な虎。
他の虎達を呼ぶときはどんな白熱した状態でも社長と呼ぶが、なんでんかんでんの川原ひろし社長だけには終始
「ラーメン屋」と呼ぶそのポリシーは何に従っていたのか一度問うてみたい。

そんな南原氏ですら番組終了後にドン底を経験する事となる

2004年 マネーの虎 打ち切り
2005年 買収した輸入車会社がつぶれて、数千台の在庫車が鉄クズとなり
    売上利益100億から負債50億へと転落

Link:数年前には60円のパンを買うにも躊躇するほどのどん底に落ちた---ダイヤモンドオンライン様



◆野口 美佳 
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ピーチ・ジョン 
代表取締役社長 134億円
35歳(当時)

ゴールデン昇格にあたって登場し、F1層を意識した抜擢であったと思われる
「あんたフザけてるの?」と女性ながら他の虎達とも対等にバトルを繰り広げ、結果一度も出資することなく番組を降板した。

虎たちの中で唯一といってよいほどその後も順調に業績を伸ばしていたが、あの事件をキッカケに思わぬ落とし穴にハマる事となる。こうなるとまるで虎達の成功を許さぬ死神が、順番に巡回しているようにも思える。



◆ 川原ひろし
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なんでんかんでん・フーズ株式会社
社長
39歳(当時)

タレント/歌手活動も平行して行い、自称「浪速のプレスリー」と名乗るも
誰がみても「浪速のスターローン」である


2009年 催眠術師を目指す
同年  所属する大田プロのタレントリストから削除される 
    
現在  多くの系列店舗が閉店し、現在は妻の兄が経営する2店舗のみ


◆ 高橋がなり
2005年 ソフトンデマインド代表取締役を辞任
現在「農業改革」を打ち出し、有限会社の社長業を行っている


◆ 安田 久
銀座のカニ専門店をオープンさせるも経営失敗


◆尾崎 友利
セレブ合コンへ業態転換



番外◆ 吉田栄作 
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ワタナベエンターテインメント所属
元祖 咆哮する俳優
33歳(当時)

当初、自分の領分とは違うと出演依頼を一度断ったという。それでもディレクターから

「吉田栄作は僕らの青春時代、熱い男の代名詞だった。あなたはかつてビッグになりたかったんだろ?金を掴みたかっただろう、今は熱くないのか!?
この言葉に動かされて出演を快諾したという。ディレクターは山口智子に絶叫してた栄作を思い描いたのだろうが、
かつて尾崎がNYで街に飲み込まれシャブ漬けになったよう、栄作も米国留学で何かを失って帰国したことをこの段階では誰も知らない。

テレビ番組でこれほど熱を灯さず、無表情で淡々と進行するロボットタレントが過去いたのかと思うほど、おそろしくデレクターの意図を終始逆行していたと思う。ディレクターの口説き文句をどう理解してたんだ?栄作よ。
かつてのキャッツビー盟友、森脇健児が「京都の町家を劇場に改装する」で挑むも計画のずさんさを虎たちにフルボッコされ、まさかの号泣というある意味放送事故を、死んだ魚の目でジッとみつめていたのが今でもトラウマである



その他にもいく人かの出演した社長達を調べてみたが、その多くが当時の職種を離れていることがわかった。皮肉なことにノーマネーでフニッシュした挑戦者達のその後の成功例の多さに驚いた。

一時的に出演していた虎達の中には行方不明や自殺といった衝撃的な末路を辿ったモノや、名物社長達の中にも強制わいせつ罪で現在告訴されているといった裏の取れない情報もいくつもあり記載は見送ったが、その多くの虎たちは非常にキナ臭い。

起業道など紆余曲折があって当然なのだが、番組終了わずか5年にしては、あまりに消え行く虎達の報道が目に付く。
ただ南原氏や堀之内氏のように一度どん底に落ちてもまた這い上がってくる本物のトラがいたことも事実である。
マネーの虎の“”とは、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」からきたチャレンジ精神旺盛なトラなのか、
「虎の威を借る狐」からくるただのキツネだったかはもう少し見つめていればその線引きができそうだ。